

高い山の尾根に立ち、背後には広く澄んだ空(=天)が広がっています。
山は大地の堅実さと境界を、空は高い理性や視野を象徴します。
風が吹き、彼女の髪と衣が揺れる様子は、「状況の変化を敏感に感じ取り、無理に進まず、一度離れる」という遯の姿勢を表現しています。
表情は穏やかでありながら、しっかりと状況を見極めている静かな強さがあり、「退くことは負けではなく、次のための準備」という遯の教えを体現しています。
遠景の天空と山の対比が、“高い視点からの判断” と “地に足をつけた行動”というこの卦のバランスを美しく描き出します。
本卦:天山遯(てんざん とん)
遯は「退く・距離を取る・無理をしない」象意を持つ卦。
今日は前に進むより、身を守る判断が重要となる。
状況や人に違和感を覚える場面が出やすく、関わりを続けると消耗する可能性がある。
衝突を避け、静かに距離を置くことで運気が安定する。
逃げるのではなく、“正しい撤退”が吉となる日。
之卦:沢山咸(たくざん かん)
咸は「感応・心が動く・引き寄せ」といった象意。
遯に対し、避けるべき場面の中にも、心が揺れるものが現れることを示す。
それは魅力的に見えても、今日の段階では深入りすると判断を誤りやすい。
心の反応をそのまま信じず、少し時間を置いて冷静に見極めることが大切。
互卦:天風姤(てんぷう こう)
姤は「突然の出会い・予期せぬ接触」を示す卦。
遯の“距離を取る”という姿勢に対し、外側から急に刺激が入る可能性を示唆する。
突然の依頼や誘い、偶然の出会いがあり得るが、今日の運気では安易に飛びつくと後々面倒を抱えやすい。
受け流すくらいがちょうど良い。
裏卦:地沢臨(ちたく りん)
臨は「導く・向き合う・育てる」象意。
しかし裏卦として出ているため、普段なら積極的に関わるべき場面でも、今日は距離を保つ方が良いという教訓になる。無理に臨もうとすると、相手と歩幅が合わず疲弊する恐れがある。
今は“導くより静観”が調和を生む。
綜卦:雷天大壮(らいてん たいそう)
大壮は「強い勢い・衝動・押し出す力」。
遯と対照的で、勢いよく進むことを好む卦。
しかし、綜卦として表れているため、勢いある動きが今日は裏目に出る可能性が高い。
積極的に動くと、意地の張り合いや強引な展開になりやすく、運気の乱れにつながる。
総合的な解釈
今日のテーマは 「退いて守る。衝動に乗らない。静かに距離を取る」。
本卦・遯が示すように、前進より退却が吉となる日で、無理な押し進めは反作用を招きやすい。状況が複雑に感じたり、相手の雰囲気が合わないと感じたら、それは“離れるべき”というサインである。
之卦・咸は、心を揺らす出来事があることを告げる。しかし、今日の運気ではその魅力に飛びつくと判断を誤りやすい。直感に刺激されても、すぐに動かず、一歩引いて眺める余裕が必要となる。
互卦・姤は、突然の誘いや予期せぬ接触があり得ることを示すが、これも遯の流れでは「深入りしない方が良い」兆し。軽い返答や柔らかな対応にとどめ、後日の判断に回すことが安全になる。
裏卦・臨は「普段なら接近すべきことも、今日は距離を保つべき」という逆の教訓を与える。強く関わるほど、相手とタイミングがずれ、余計な負荷がかかりやすい。
綜卦・大壮は、勢いある行動が裏目に出ることを示す。強く出たり急いだりすると、相手とも自分とも気持ちがぶつかりやすい。
総じて今日は、
- 距離を置く
- 急がない
- 衝動で動かない
- 誘いは慎重に
- 静観して流れを見る
この姿勢を貫くことで、運気の乱れを防ぎ、明日以降の好転につながる一日となる。









